キク科
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タンジー: 特徴と育て方

Tanacetum vulgare
伊東 春乃

タンジーは、黄金色の小さな花が集まって咲く多年草で、特徴的な羽状の葉を持ちます。その整った花姿と強い香りから、長い歴史の中で観賞用や文化的な用途で親しまれてきました。

この記事では、タンジーの基本情報、文化や歴史、育て方について詳しく解説します。

基本情報

  • 学名Tanacetum vulgare
  • 科名: キク科(Asteraceae)
  • 原産地: ヨーロッパ、アジア北部
  • 外観: 高さは50~120cmほどに成長し、細かく裂けた葉が特徴です。花は明るい黄色で、小さなボタンのような形をしており、茎の先端に密集して咲きます。
  • 開花時期: 夏から秋にかけて開花します。

世界各地での文化的特徴

タンジーはヨーロッパを中心に、多くの文化圏で象徴的な植物として扱われてきました。

ヨーロッパでは、タンジーの鮮やかな黄色い花が太陽の象徴とされ、古くから儀式や装飾に用いられてきました。中世のイギリスでは、春の祝祭の際に飾られる花として知られ、その強い香りが清浄の象徴とも考えられていました。

また、タンジーは長持ちする花としても評価されており、ドライフラワーに加工されてリースや装飾品に使われることが多くありました。現代では、庭園での景観植物としての役割も果たしており、その独特な風合いがナチュラルガーデンの要素として取り入れられることもあります。

花の歴史的エピソード

タンジーは古代ギリシャやローマ時代から人々に知られ、さまざまな用途で利用されてきました。中世ヨーロッパでは、修道院の庭園に植えられ、長旅をする巡礼者の休息所としての役割も果たしていました。

17世紀にはアメリカ大陸へ持ち込まれ、開拓時代には庭や牧場の境界線に植えられることがありました。これはタンジーの繁殖力の強さを利用し、土地の境界を自然に維持するための工夫の一つでした。

こうした歴史を経て、現在では観賞用として広く栽培されるようになっています。

ガーデニングアドバイス

タンジーは丈夫で育てやすい植物ですが、より美しく育てるためには適切な管理が必要です。

日照

日当たりの良い場所を好みますが、半日陰でも育ちます。

水やり

乾燥に強い性質を持ち、過湿を嫌います。土の表面が乾いたら適量の水を与えましょう。

土壌

水はけの良い土を選びます。砂質の土や腐葉土を混ぜた培養土が適しています。

肥料

肥料はあまり必要としませんが、生育を促したい場合は春に緩効性肥料を少量与えると良いでしょう。

耐寒性

寒さに強く、特別な冬越しの対策は不要です。ただし、極端に寒冷な地域では根元をマルチングすると安心です。

まとめ

タンジーは、ヨーロッパやアジア北部を原産とする多年草で、鮮やかな黄色い花と細かく裂けた葉が特徴です。

古くからヨーロッパの文化や伝統の中で象徴的な植物とされ、祭礼や装飾に使われてきました。イギリスでは清浄を意味する植物とされ、アメリカでは開拓時代に庭や牧場の境界線として植えられるなど、歴史的にも重要な役割を果たしてきました。

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