ベロニカ・テウクリウム: 特徴と育て方

ベロニカ・テウクリウムは、鮮やかな青紫色の花を房状に咲かせる多年草で、庭にさわやかな印象を与える植物として親しまれています。初夏から夏にかけて開花し、切り花やボーダーガーデンのアクセントとしても活躍します。
この記事では、ベロニカ・テウクリウムの基本情報、文化や歴史、育て方について詳しく解説します。
基本情報
- 学名: Veronica teucrium
- 科名: オオバコ科(Plantaginaceae)
- 原産地: ヨーロッパ、コーカサス地方
- 外観: 高さ30〜70cmほどに成長し、直立する茎の先に小さな青紫色の花を多数咲かせます。葉はやや鋸歯のある楕円形で、全体に整ったシルエットを持つのが特徴です。
- 開花時期: 5月〜7月
世界各地での文化的特徴
ベロニカ・テウクリウムは、ヨーロッパを中心に古くから庭園植物として親しまれてきました。とくにドイツやオーストリアでは、牧草地や山麓に自生する姿が見られ、自然風のガーデンスタイルに合う植物として人気があります。
イギリスでは19世紀以降、草花の混植によるボーダーガーデンに取り入れられるようになり、鮮やかな青花が他の植物との調和を演出する存在として重宝されてきました。
また、近年では野草的な魅力を生かしたナチュラルガーデンにも適するとして、欧米を中心に再評価が進んでいます。
花の歴史的エピソード

ベロニカ属の植物は、古代ローマ時代からヨーロッパ各地で知られており、中世には修道院の庭でも栽培されていた記録があります。
Veronica teucriumという種に関しては、18世紀の植物分類学の発展に伴い、スウェーデンの植物学者カール・フォン・リンネによって命名・記録されました。その後、イギリスやドイツを中心に庭園植物として選抜・育種が進み、より観賞価値の高い品種が流通するようになりました。
19世紀から20世紀初頭の園芸書には、青花の多年草としてしばしば紹介されており、当時の庭園文化の中で確かな存在感を放っていたことがうかがえます。
ガーデニングアドバイス
ベロニカ・テウクリウムは日当たりと風通しの良い場所を好み、初夏の庭に清涼感のある彩りを与えてくれます。以下の点に留意すると、より美しく育てられます。
日照
日なたを好みます。1日を通して日光がよく当たる場所でよく育ちます。
水やり
過湿を避けつつ、土の表面が乾いたらたっぷり水を与えます。乾燥が続く場合は朝か夕方に適度な水やりを心がけます。
土壌
水はけの良い土壌が適しています。粘土質の場合は腐葉土や軽石を混ぜて通気性を高めると良いでしょう。
肥料
肥料は控えめで問題ありませんが、春先に緩効性の肥料を施すと開花が安定します。
剪定
花が終わったら、花茎を切り戻すことで次の花芽の発育が促されます。秋には地際で刈り込むと、株が整いやすくなります。
耐寒性
耐寒性があり、霜に当たっても翌年また芽吹きます。ただし寒冷地では、株元に腐葉土などを軽くかぶせて保護すると安心です。
まとめ
ベロニカ・テウクリウムは、青紫色の花が涼やかな印象を与えるヨーロッパ原産の多年草です。18世紀の植物分類にその名が記され、以降はドイツやイギリスをはじめとした国々の庭園で愛されてきました。
初夏に咲く整った花姿は、ボーダーガーデンやナチュラルガーデンによく馴染み、剪定を行えば繰り返し花を楽しむことも可能です。耐寒性があり、比較的管理も難しくないため、長く付き合える草花として多くのガーデナーに支持されています。
